経理コスト削減方法
昨今、材料費燃料費の高騰がさけられない時代です。中小企業においてはますます厳しい状況となってきました。経営者のみなさんは、あの手この手の経費削減を考えられていますが、こと経理業務に関しては聖域みたいに考えられている経営者も多いようです。
それは、経営者になられる方は営業や技術畑出身の方が多く、経理業務に関しては、あまり詳しくないような人が多いためだと思われます。そのため一見、非効率に見えるような作業をしてる経理社員に効率化を促しても、専門用語を駆使して反論されると、よく分からなくてもしぶしぶ納得してしまうのです。
しかし、昔ながらの中小企業の経理業務といえば50円100円程度の経費だろうが複数の伝票や帳簿に手書き、現金預金残高の確認や領収書の整理、銀行へ通帳記入や振込みに行くなど、それほど専門知識が必要なのか疑問のような業務が大半です。
実は、経理業務の80%は単純作業と言われています、つまりそれだけ作業を効率化出来る余地があるということです。
以下にちょっとした工夫でお金をかけずに効率よく改善する方法をあげてみました。もちろん全て採用される会社は少ないと思いますが、少しでも貴社の経理業務効率化のヒントになれば幸いです。
なお、これは経理社員をリストラするための効率化ではありません、経理社員の事務負担を減らすことにより、あまった時間を販売管理や予算管理、営業支援など会社の儲けに貢献出来る業務にも利用してもらうことが狙いです。
ポイントは2つ!
1、現金を出来るだけ使わないようにすること
1、手書きで伝票や帳簿を書かない、又は回数を減らす
立替金の精算回数を減らす
立替金の精算とは、役員又は従業員が業務用必要な経費を立替えて支払い、後で会社が精算して支払うというものですが、これをその都度やっていては、現金を合わせるだけでも大変な作業ですし、場合によっては経理社員が度々銀行に足を運ぶことになります。
そこで、立替金の精算日を一週間に一回又は一ヶ月に一回程度に、例えば毎月20日の一回だけと決めてしまい、その日までに立替え経費の報告書と領収書を提出した社員だけ精算して支払うこととするようにします。
ちなみに精算日と給与の締め日を同じ日にして、給料と一緒に精算分を支払うようにすればより効率的です。
仮払金制度は廃止、法人クレジットを活用する
仮払金は役員や従業員にあらかじめいくらか必要な金額を渡しておいて、使った分は精算して残った分は会社に返すというものですが、なかなか使った領収書が提出されなかったり、余った分が不明瞭になって戻って来なかったりして、残高を合わせるのに大変な手間がかかります。
そこで、この制度自体を廃止し上記の立替金精算制度へ切り替え、報告書と領収書を提出した社員だけ精算するようにし、役員や営業部長など比較的接待などで経費がその都度必要な社員にのみ法人名義のクレジットカードを渡すようにします。
今は年会費無料でポイントがたまるようなカードも多く、明細書が毎月会社に届くため内容もチェックしやすく、非常に経理事務作業が効率化されます。
なお、海外出張が多い会社などで全額社員に立替えさせるというのでは、さすがに酷なので、その場合は例えば、出張旅費 申請書・精算書 と言うように仮払金の申請書と精算書が一緒になっているような書式を作れば管理がしやすいと思います。
銀行口座を減らす
複数の銀行口座を持っている会社は多いですが、例えばA銀行には売掛金が入るが、B銀行からは家賃、リース料が落ちるのでわざわざ口座振替のためや、通帳記入のために複数の銀行をまわったり、残高確認を行うことは無駄な作業だと言えます。 そこで、通常業務で使う銀行口座は極力減らし、1つか2つ程度にしておく方が効率的です。また、ほとんど使っていない銀行はどんどん解約して整理することをお勧めします。
インターネットバンキングの活用
現在ほとんどの金融機関でネットバンキングを取り扱っています。自社のパソコンで入出金の確認や振込みが低料金で出来るため、わざわざ銀行まで出向かなくてもよく、振込先を登録しておけるので、振込作業時間も大幅に短縮され大変便利です。
しかし、便利な反面セキュリティ面では注意が必要です。犯罪に巻き込まれないためにも、ネットバンキングを利用する前に、次のようなルールを決めておくといいでしょう。
(1) 電子認証された経理の特定のパソコンからしか資金移動できないようにする。
(2) 取引照会や振込手続きをする人と、決済承認する人のID、パスワードは別にする。
支払日を一定の日に集中させる
支払日が明確に決まっていない会社は、通常相手から指定された支払日どおりに支払います。取引先が増えてくると毎月五十日(ごとおび)がすべて支払日になってしまうこともあります。
そこで支払日を一定の日に集中させてみてはいかがでしょうか、前述の立替え経費精算の日と給料日と、同じ日を支払日にしてしまえば、ほとんどの支払いが一日で済むことになります。
代金回収業務の合理化
得意先が多い会社ほど、売掛金の回収に苦労しています。1件1件担当者が回収していては、人件費もかかりますし、自社が発行する領収書に印紙が必要な場合も多いです。そこで、預金口座振替や、宅配便、カード会社などの集金代行システムを利用するなどして回収作業を合理化することが出来ます。
また、大事なお客様から直接会って回収することが必要な場合も、早めに回収処理をシステム化して効率アップを図り、決算のときも速やかに、得意先ごとの未収残高が確認できる仕組みを構築しておきましょう。代金回収方法、入金処理の仕組み、データ処理などの流れを確認し、どこが問題なのかを定期的に見直す必要があります。
ファイリングの合理化、7年以上前の領収書は処分
領収書や請求書等には7年間の保存義務がある以外は、保存方法には法的な定めはありません。そのため税務調査でもない限りは2度と見ないケースがほとんどです。7年以上前の領収書や請求書で業務管理上必要なもの以外は処分することをお勧めします。
また、よく支払いの相手先別に綺麗にファイリングしている会社がありますが、はたしてそこまで時間をかけてするメリットがあるでしょうか?領収書が見やすくて喜ぶのは会計事務所と税務署だけです。
もっとも効率的な方法は月単位でまとめてしまう方法です。仕入先別に必要な情報など滅多にありませんから、まとめて月別に請求書をファイリングし、まだ支払っていない請求書だけを別に集め、月次試算表の買掛金残高と照合すれば便利です。
自社発行の請求書についても発行日順にファイリングし、未回収分は分けて、売掛金残高と一致させることが重要です。
会計ソフトを活用
経理業務の大半を占める記帳作業は会計ソフト導入により、手書きの記帳作業より大幅に効率化されます。
また、貴社の経営状態が瞬時に分かるため今後の資金計画、予算管理に役立てることが出来ます。
主な業務の流れ
支払日が明確に決まっていない会社は、通常相手から指定された支払日どおりに支払います。取引先が増えてくると毎月五十日(ごとおび)がすべて支払日になってしまうこともあります。
そこで支払日を一定の日に集中させてみてはいかがでしょうか、前述の立替え経費精算の日と給料日と、同じ日を支払日にしてしまえば、ほとんどの支払いが一日で済むことになります。
参考資料
「ココまで出来る経理の合理化」 児玉尚彦著 日本能率協会マネジメントセンター
「儲かる経理に30日で変わる究極の方法」 児玉尚彦著 日本実業出版社